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【落語会 陰の演出者たち】
「落語コンシェルジュ」「女興行師」「いたちや女将(おかみ)」というさまざまな肩書で語られるのが、川崎理沙さん(31)。落語会を運営する女性としては新人だ。
「いたちや」という不思議な名前は、落語ファンならピンとくるだろう。「牛ほめ」のなかで「20のことは、はたちというんだ」というと、与太郎が「30は、いたちか」というくだりから、ちょうど30歳のときに独立したことから「いたちや」と名付けた。
川崎さんは編集者からの転身だ。ここで「華麗な」という言葉を付けたいが、それほど順調ではなかった。「まだ1年ですから。ようやく商売の仕方の何かが分かりかけてきた。まだまだです」
周囲からは「いつまで続くだろうか」という厳しい目で見られているという。
川崎さん自身も「こんなことで生きていけるのか」という不安もある。「会社を辞めないでもできたかな」と思うこともあるが、落語家に認めてもらうためには、ひとりでやり、対等になることが必要なのだという。
とはいうものの、「会社を辞めて、すぐにものすごく後悔した」とも。「一年目で、すぐに結果は出ない。落語家さんも15年かけて真打ちになる」と、自身に言い聞かせるようにいう。
今ではチラシもチケットもしっかりと「いたちや」の色が出ている。
「インパクトがあったようで、あのチラシの-と覚えていただいた」と、お客さんに感謝する。
もうひとつ、川崎さんの会はよくみると、大安の日に行われることが分かる。縁起をかついでいる。
「会場が一杯で、選べる状況ではないときには、仏滅以外を選ぶ。曜日とかではない」というのだ。そこも面白い。
落語会の前には、落語中興の祖である三遊亭円朝の墓に「何とぞよろしく」と、参ってから落語会の会場に出掛ける。川崎さんにとって、円朝は落語の神様なのだ。
主催する落語会が赤字でも、「いろいろな条件のなかで、この落語会を選んでくれた」と、お客さんへの感謝を忘れない。
「いい落語会でしたというお客さんの褒め言葉は、すべて出演した落語家さんのもの。自分へのものではない」とも言う。
先日も川崎さんの企画した「五街道四門三月双蝶々初夜」と題した落語会について、タイトルからして面白い、ということを伝えると「何の才能もない。自身の才能ではなく出演者のおかげです」と、どこまでも謙虚だ。
「好きなことを仕事にするのがいいと、それを素直に信じていたが、なるべく好きなことはやらないほうがいい」と今はアドバイスできるのだという。それだけ今は、楽しむというより苦しんでいるのかもしれない。
「自分の葬儀に、落語家さんが紋付き姿で、ずらっとそろってくれる、その姿を想像したら、精神が安定した」と。「200人くらいの落語家さんがずらりと黒紋付きで並ぶといいでしょ。自分では見ることができないんですけど。60か70で死ぬとそれくらい集まりますか。今死んでも、10人の落語家さんが来てくれるかどうか。知り合いも前座さんが多いから、紋付きを着ることはできないんですが」と笑わせる。
そのことを考えると、今の仕事を続けるエネルギーがわいてくるのだという。
「落語のために、落語のことだけを考えてやる」と、川崎さんは言い切った。
(松垣透)
(この記事はエンタメ総合(産経新聞)から引用させて頂きました)
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